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間もなく二十四節気の穀雨(今年は4月20日)。穀物に実りをもたらす雨が降り注ぐ季節となりました。春の柔らかな雨に大地は潤い、新芽や若葉が育っていきます。若葉萌える新緑の季節、木々の緑も雨上がりは一層色鮮やかです。立夏(今年は5月5日)が近づく八十八夜(今年は5月2日)の頃になれば、気候も安定してきます。
同じく安定ということでいえば、新たな決済手段として、ステーブルコインに対する関心が高まっているところです。ステーブルコインとは、例えば1ドル=1××コインのように、法定通貨に連動するデジタルマネーを指します。ブロックチェーン技術を基盤としており、暗号資産の一種と認識されているものです。暗号資産は法定通貨と交換することができますが、例えばビットコインやイーサリアムといった従来の暗号資産は価格変動が大きく、決済手段としては使い勝手が悪いという難点がありました。そのため、決済に適した暗号資産として、価格を安定させたステーブルコインが開発される一方で、従来の暗号資産は変動を投資機会と捉える動きが広がり、投資資産とみなされるようになっています。
決済に利用されるデジタルマネーとしては、一部の国の中央銀行が発行あるいは発行を検討中の中央銀行デジタル通貨(CBDC)もあります。CBDCも法定通貨と同等の価値を有するデジタルマネーですが、ステーブルコインは民間部門が主体となって発行され、ユーザーやビジネスの現場に近い視点で開発されるため、便利で付加価値の高い決済手段としての利用が期待できるでしょう。また、数は少ないのですが、金や原油の価格に連動するステーブルコインもあります。
現時点では受け入れ体制が整っていないことから、ステーブルコインが通常の決済や送金に利用されるケースは限定的です。ビットコインなどの暗号資産を取り引きする際の決済手段や担保として利用されるケースが多くなっています。暗号資産の取り引きでは、法定通貨よりもブロックチェーンを基盤とするステーブルコインを使う方が、効率的でコストも低いという事情もあるからです。
日本では米国のような時価総額の大きいステーブルコインはまだありませんが、決済に利用するためのステーブルコインの発行に向けた検討がすすんでいます。弊社ともご縁のあるディーカレットが事務局となり、銀行、小売、運輸、情報通信など幅広い業界の大企業が参加している「デジタル通貨フォーラム」は、企業間の決済などで利用できる円建てのステーブルコイン(DCJPY)を今年度中に発行するという計画を公表しました。三菱UFJ信託銀行はデジタル証券の決済に利用するステーブルコインである「Progmat Coin」の発行に向けて準備していると報じられています。また、三井物産は傘下の暗号資産交換会社を通じ、金価格に連動する「ジパングコイン」というステーブルコインの発行・販売を公表しました。
主要なステーブルコインの時価総額は今年2月末時点で約1740億ドルとなっており、1年前と比べて3.5倍、2年前と比べると30倍以上に増加しています。また、暗号資産の種類別の時価総額においても、ステーブルコインの存在感が高まっているところです。弊社も将来、不動産評価額に連動し、かつ、不動産が生み出す家賃収入の一部を分配金として受け取れるステーブルコイン(不動産本位のデジタル通貨=Mコイン)の発行を目指して参ります。