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明日は二十四節気の寒露。暦便覧(江戸時代の暦の解説書)には、陰寒の気に合つて露結び凝らんとすれば也、と記されています。気候も安定し、これから秋晴れの日が続きます。行楽のシーズンを迎えますが、皆様は紅葉狩りなどお出かけの予定はお決まりでしょうか。
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は今年8月8日、土地と気候の関係を初めて総合的に捉えた特別報告書「Climate Change and Land」を公表しました。土地管理の改善が気候変動への取り組みに貢献するとして、地球温暖化を2℃よりはるかに低く抑えるためには、土地管理も含めたすべての部門からの温室効果ガス排出量を削減することが必須であるとしています。土地は、農業や林業に伴う利用で、人為的な温室効果ガス排出量の23%を占めているものの、その一方で、自然の作用により、化石燃料や産業からの排出量の3分の1程度に相当する二酸化炭素を吸収しています。また、世界に食料を供給し、再生可能エネルギーとなるバイオマスを提供していますが、気候変動などによる劣化や砂漠化により、地域によっては早急に大幅な対策が必要です。とはいえ、植林など土地を用いた気候変動の対策をおこなえる範囲は限られています。土地の生産性を維持しながら、栽培植物の選択、食品ロスの削減など食料リスクを管理していくことができれば、それが地域の活性化にもつながるでしょう。世界で持続可能な土地利用がなされ、気候変動に協調的に取り組んでいくことができれば、土地や食料の安定確保、栄養の改善、更には飢餓の撲滅にもつながります。この報告書では、総合的に持続可能性に焦点をあて、早期に対策をおこなうことで、気候変動に対処できる可能性が最も高まるとしています。
バブル経済崩壊後の1997年、国土交通省(当時は国土庁)は毎年10月を土地月間、10月1日を土地の日(土を分解すると十と一になるから)と定め、土地に関する基本理念の普及・啓発活動の充実を図っており、国と地方公共団体、更には関係団体などが主体となって、全国的な活動を展開しているところです。今年4月30日、30余年にわたる平成時代が幕を閉じ、5月1日には新元号の令和時代となりました。平成時代においては、東京都心部に端を発した急激な地価高騰とその抑制を基調とする土地政策の推進からはじまり、バブル経済崩壊後の地価下落に伴う不良債 権に関連する低・未利用地の発生と、これらの土地を含む土地の有効利用の推進、本格的な人 口減少時代における空き地・空き家や所有者不明土地に関する問題の顕在化とその対応など、社会経済情勢の変化に伴って土地政策も変化しています。 また、国民の生活ニーズの変化、産業構造の変化、環境への認識の高まり、グローバル化の進展などに伴い、不動産市場も変化してきたほか、阪神・淡路大震災や東日本大震災をはじめ、度重なる大規模自然災害の発生により、その教訓を活かした防災・減災対策の強化がすすめられてきました。
令和時代における土地政策は、本格的な人口減少を迎えるなかで、これまでに蓄積され、適切に管理されている不動産ストックの有効利用を図りつつ、国民生活の質の向上に資するような豊かな土地利用の実現を目指していかなければなりません。その際、成長分野の土地・建物需要に的確に対応するための市場整備を図り、収益性が低い、需要が少ないなど、市場に委ねるだけでは利用がすすまない土地・建物については、多様な用途での利用など潜在的な需要を顕在化させることも含めて有効利用していくことが求められてくるでしょう。 また、近年、人口減少の進展に伴って土地の利用の担い手の減少や利用ニーズの低下を背景にした管理不全の土地が増加し、周辺の土地にまで悪影響を与える事例も珍しくありません。人口減少社会に対応した土地の適切な利用・管理の確保のため、関連法令の見直しや土地に関する制度・施策を再構築することが求められています。弊社も全国各地に土地・建物を所有しており、当然ながら、こうした動向には十分に注意を払って参ります。