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「我が人生は、実業に在り。」
これは日本資本主義の父、渋沢栄一が残した言葉ですが、本日11月11日は彼の命日です。江戸時代末期の1840年3月16日(天保11年2月13日)、武蔵国榛沢郡血洗島村(現在の埼玉県深谷市血洗島)の農家で長男として生まれ、1931(昭和6)年11月11日に91歳で亡くなるまで、国内最古の銀行である第一国立銀行など500以上の会社設立に関わりました。日本を代表する実業家として何度も紙幣の肖像候補になったものの、結局は採用されませんでしたが、2024年度発行の一万円札に採用が決まっています。
人類の歴史をひもとくと、印刷技術の登場によって紙幣が誕生し、当時の政府や王権は戦費をいかに調達するかが非常に大きな課題であったため、目先の戦費を調達するために紙幣を増発しました。その結果、通貨の信認が崩壊して政府や王権は倒れ、これを繰り返してきたのが人類の歴史ともいえそうです。政府が紙幣を過剰に供給するインセンティブを適切にコントロールするための知恵として、政府の影響を受けない独立した中央銀行が誕生しました。中央銀行は政治的な圧力から独立して物価の安定を図ることによって、通貨の信認を維持することができるようになります。
昨年4月に経済産業省が公表したキャッシュレス・ビジョンの報告書によれば、電子マネー、クレジットカード、デビットカードの年間支払い額合計を家計の年間最終消費支出額で割ったキャッシュレス決済比率は日本において20%を下回っており、キャッシュレス化が遅れているといわざるを得ません。例えば韓国は、金融危機を経て、政府が音頭をとる形でクレジットカードの利用を積極的に推進したことなどから9割を超えていて、日本とは比較にならないほどキャッシュレス化がすすんでいます。日本政府はキャッシュレス決済比率をKPI(キーパフォーマンスインディケーター)として設定し、2025年までに4割に高め、更にその先も高めていく予定です。また、日本同様にキャッシュレス決済比率の低いドイツでは、個人情報に対する意識が非常に高く、キャッシュレスの手段を使うことで自分がいつどこで何を買ったかの証跡が残ることや、こうした情報を誰かに管理されることへのためらいがあるといわれています。
このように各国の状況は様々ですが、ここで、キャッシュレス決済比率と現金流通残高のGDP比率を比較してみると、一見、相反する動きをしているようにみえる国もあり、その典型例がスウェーデンです。この国の現金流通残高のGDP比率は主要国のなかで最も低いことから、キャッシュレス決済比率は高そうですが、実際は5割にも至っていません。両比率の乖離がどこから生じているのかといえば、それは、キャッシュレス決済比率におけるキャッシュレスの定義が人々の考えるキャッシュレスのうち、ごく一部しか捉えていないからです。スウェーデンでは現金同様、クレジットカード、デビットカード、電子マネーもそれほど使われておらず、その代わりとなるキャッシュレス手段、具体的にはスウィッシュと呼ばれるモバイル決済が広範に使われています。キャッシュレス化の推進にあたっては、情報技術の進展に合わせて多面的に評価していかなければなりません。
さて、弊社がおこなっている不動産特定共同事業においても、現在、ブロックチェーンなど新技術の活用に向け、国土交通省の検討会で有識者による議論がなされているところです。皆様がより安心して事業に参加できるよう、弊社も環境整備に努めて参ります。