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昨日は二十四節気の大雪。暦便覧(江戸時代の暦の解説書)には、雪いよいよ降り重ねる折からなれば也、と記されています。本来であれば雪が激しく降りはじめるころではあるものの、地球温暖化も影響しているからでしょうか、まだその気配は感じられません。
地球温暖化対策のひとつに、人口増加に伴う食肉需要への対応が挙げられます。といいましても、単に需要に見合った供給をし続ければよいというわけではありません。国連の統計によれば、1990年に世界の人口は53億人でしたが、2011年には70億人を突破し、現在、76億人まで増加しています。2050年には97億人まで膨らむ見通しであり、特に増えるのは、1万5000ドル以上の所得をもつ中高所得者層です。これらが増加すると、食肉需要の増加につながります。低所得者層はパンやシリアルから栄養を摂取する比率が高いのですが、中高所得者層では肉や魚を食べる頻度が高くなるからです。食肉需要の拡大に供給が追いついているのであれば、需給バランスが崩れることはありません。しかし、それは現実的に難しくなってきています。最大の理由とされているものが、環境負荷への影響です。
国連食糧農業機関の推計によれば、人為的に排出される温暖化ガスの14.5%は畜産業によるものであり、特に、家畜の排泄物やげっぷから出されるメタンガスは、同量の二酸化炭素の25倍も地球温暖化を進行させるとか。また、世界の水資源の4分の1以上が畜産業に使われているとのデータも存在します。食肉の供給を増やすため、牛や豚の畜産を拡大すると、地球にこれまで以上の負荷を与えてしまうでしょう。こうした問題は国連が2015年に公表した、持続可能な開発目標(SDGs)やパリ協定でも共有されてきています。
そこで脚光を浴びているのが、植物由来の材料でつくられた代替肉です。米国ミシガン大学の試算によれば、代替肉を使ったハンバーガーと従来のものを比較すると、代替肉の方はエネルギー消費46%、温暖化ガス排出89%、水資源99%の削減効果があります。これまでも動物由来の食品を植物由来のものに代替する動きはありましたが、ここ数年のバイオテクノロジーの進展により、美味しさも格段に増して消費者へも広まりました。同時に、それらを取り扱うフードテック企業への関心も高まっています。
今年5月、ビヨンド社は1兆円超の時価総額をつけて米国ナスダック市場に上場しました。同社の主力商品はプラントベースドミートと名づけられた植物肉です。えんどう豆を主原料とし、そこにミネラルやアミノ酸が加えられています。環境や健康に意識の高い消費者から支持を集め、販路は世界30ヶ国超に及んでおり、業績も拡大中です。また、ビヨンド社に続く有力候補とされているインポッシブル・フーズ社は、大豆やジャガイモのタンパク質からつくった植物肉を全米7000店あまりのバーガーキングに提供し、同社の株主にはビル・ゲイツ氏やグーグルの関連会社も名を連ねています。
2011年に亡くなったスティーブ・ジョブズ氏はかつて、21世紀最大のイノベーションは生物学とテクノロジーが交差するところで生まれる、と述べました。米国のみならず、世界中で革新的なフードテック企業の登場が望まれています。業態は異なりますが、弊社も不動産とテクノロジーの交差から革新的な商品・サービスを生み出していきたいと考えております。これからも弊社の動向にご注目下さい。