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世界情勢の改善に取り組むことを目的とし、スイスに本部を置く世界経済フォーラムは、今年1月中旬、2020年版のグローバル・リスク報告書を公表しました。この報告書は毎年、ダボス会議に合わせて公表されているものです。世界中の750名以上の専門家と政策決定者に、経済、地政学、環境、社会、テクノロジーの5つの分野で、この10年間に起こる可能性が高い問題と、発生した場合にインパクトが大きい問題についての調査結果が報告されています。起こる可能性が高い問題の上位5件を紹介すると、第1位「極端な気象現象(洪水、暴風など)」、第2位「気候変動に対する緩和と適応の失敗」、第3位「深刻な自然災害(地震、津波、火山、磁気嵐など)」、第4位「深刻な生物多様性の損失と生態系の崩壊」、第5位「人為的な環境損害や災害(原油流出や放射能汚染など)」となり、すべてが環境関連の問題で占められました。また、発生した場合にインパクトが大きい問題の上位5件も環境関連のものが多くを占め、第1位「気候変動に対する緩和と適応の失敗」、第2位「大量破壊兵器」、第3位「深刻な生物多様性の損失と生態系の崩壊」、第4位「極端な気象現象」、第5位「水危機」となっています。
現在、このままでいくと、持続不可能になるところまで地球全体が追い込まれてしまいました。様々な危機が顕在化することで、地球の持続可能性を意識する人も増えてきています。かつて戦後の日本は、何よりも物質的に豊かになることを最優先の目標に掲げ、それを達成すべく、必死に努力してきました。衣食足りて礼節を知る、ということわざがありますが、まずは衣食を追求した結果、それらを手に入れています。一方で、深刻な公害問題も引き起こしてしまいました。地球を大切にするという礼節から目をそむけたことで、豊かさの根本である地球の持続可能性に悪影響を与えてしまい、この反省を踏まえ、日本は公害問題に向き合って解決に取り組んでいる最中です。いまは環境先進国として、発展途上国の持続可能な社会づくりにも貢献しようとしていますが、ここで、日本にとってもよきお手本となる、SDGs先進国であるスウェーデンの事例を少し述べてみます。
スウェーデンはSDGsに本気で取り組んでおり、190程度の行政機関と60程度の国営企業が自分たちの活動を政府に報告することになっています。企業や業界、都市が持続可能性のリーダーであり続けたいという強い思いをもち、これがスウェーデンのブランドになっているといえるでしょう。また、企業経営者、研究者、政治家などの著名人がSDGsについて自分の言葉で語り、テレビ、雑誌、新聞などが伝え、国民はそれに耳を傾けています。例えば、家具大手のイケアはSDGsの17の目標を網羅したアクションプランを公表し、数値目標も開示しました。スイスでおこなわれる世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)に経営者が出席して取り組みを語るなど、情報発信も積極的です。
スウェーデンでSDGsは各業界が持続可能性について考える際のDNAとなってきました。当然ながら全員がそう考えているわけではありませんが、間違いなくその方向へと動きつつあります。政府が企業の経営者ネットワークの構築を支援し、経営者がSDGsについて勉強していくことで、その結果として事業活動や投資戦略が変化してきました。国連が昨年10月にSDGs達成に向けた民間資金の動員を加速する目的で、グローバル企業経営者30人で構成する「持続可能な開発のためのグローバル投資家アライアンス(GISD)」を発足させていますが、このモデルとなったのもスウェーデンの投資家ネットワークです。循環型経済や気候変動への取り組みも、SDGsがベースとなっています。
日本においても、特に上場企業は、もはやSDGsを意識せずに事業をすすめていくことが難しくなってきました。弊社でも適切な対応を心がけ、ステークホルダーの皆様の期待に応えられるよう、努めて参ります。